ツギハギの恋
北校舎から本校舎に靴を履き変えに向かう。

ひなたは無言であたしも黙ったまま隣に付いて歩く。

一緒に帰るなんて言われてないし、あたしからも言っていない。

お互いただ黙ったまま渡り廊下を歩く。



本当に何なんだろこの関係。


ペットと飼い主から先輩と後輩になって……。

どう接していいのか正直わけわかんない。


とりあえず隣をくっついて歩いていると不意に手を繋がれた。

驚いて隣を見るとひなたも驚いたような顔をしてあたしを見ている。


「えっ?」


「あれ?」


「……夢前先輩?」


「何だろ……手が勝手に動いた」


「……え?」


ひなたはスルリとあたしの手を離すと自分の手をポケットに仕舞った。


記憶をなくす前、ひなたはあたしと歩くと手を繋ぎたがった。

それを無意識にやったってこと?


あたしの中、何かが込み上げ胸を締め付ける。

慌ててひなたの手を掴むとポケットから引っ張り出し無理矢理、繋いた。




「手!繋がないとダメです!!」


必死なあたしにひなたはキョトンとして繋がれた手を見る。



何か少しでも記憶が繋がればいい……。

祈るようにあたしはひなたの手をギュッと握った。
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