ツギハギの恋
動く絵文字に店内の雑音が一瞬、消えた。


は?

そう来んのかよ……

あー……

ダリーわコイツ


ユリからのメールを見たあたしは静かな怒りとともに思わず笑いが漏れた。


『敦くんから連絡が取れないって聞いたけど、ミリどうしたのー?』

そんな内容のメールが絵文字付きで送られていた。


何が『どうしたのー?』だ

テメーのせいだろーが

バレてないつもりかよ。


ケータイを閉じて何事もなかったようにカフェラテを飲む。
目の前に座っていたひなたが心配そうにあたしの顔を覗き込んだ。


「ミリちゃん今、嫌な気持ち?」

「……別に……」


黙り込むとひなたは急にあたしの手を取り頬擦りしてひと舐めした。


「何!?」

予想外の出来事に慌てて手を引っ込める。
ひたなはあたしの反応にケラケラ笑った。

何してんだコイツ!?


「癒してあげようと思って。アニマルセラピー?」

「アニマルじゃねーし!汚っ!」

「でもミリちゃん元気になったじゃん?」

「アホか!怒ってんだよ!?」


周りの客の視線が痛い……

あたしスタバで何やってんだか。

ひたなは周りの視線もお構い無しにカフェモカを飲み干した。
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