私が海に還るまで
その後、シュウと二、三言交わす男性の足元をぼんやりと見て
「新幹線の時間があるから……」
他人行儀のように言ったシュウの言葉を区切りに
男性は私達が来た道を進んで
私とシュウは出口へ向かった
一瞬すれ違った
男性は私に何の言葉もかけず
私も傍目にはなんの感慨も持たないように見えただろう
ただシュウが振り返り
「……行こう」
何かを抑え込むような表情で私に目を合わせた時
私の瞳からは抑えきれないほどの涙が溢れ出し
雨水と同化するように地面に落ちていった