甘い夏  煙草の匂い



「もっ…もしもし…?」

「くっ…真…那?」

「えっ?もうっ…笑ってるんですかっ?!」


「ひどいっ!」と電話の向こうでプリプリ怒っている。どんな顔をしているか、想像するだけで、また笑える。


「もっ…切りますよっ?」

「ああ、待て待て。」

「…何ですか?」

「お前、俺んちに来る気ない?」

「…明後日行きますけど?」

「そうじゃねぇよ。そこを出て、俺んちに住めよ。」

「…へ?」

「『へ?』じゃねぇよ。そこにいるより、よっぽど安全だろ?」

「…。」

「…ん?」

「…危険です。」




…そりゃそうか。




「…もし、また何か変な事があれば、スグに連絡しろよ?いいか、スグにだぞ?」

「…はい。」

「真夜中でも、仕事中でも、絶対に遠慮すんなよ?わかったか?」

「はい。」



…ここまで言っても、きっと遠慮するだろう…。やっぱり、連れて帰って閉じ込めておきたい…。


「やっ…だっ…ダメです!」

「え…?」

「閉じ込められると…困ります…。」



やべ…声に出てた…?



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