fall in labo〜恋する研究室〜
「沢村さん、大丈夫ですか?」


お店の中から心配そうな顔を出したのは、シゲヤマだった。


「はい、大丈夫です。大分、気分も良くなりました。」


浩実とダイキくんのラブラブ話で癒されたってのは癪だけど、事実、気が紛れたんだから仕方ない。


「それは、よかったです。なかなか帰ってこないから、心配したんですよ。」

「そうなんですか?すみません。」

「今日の主役は3年生ですからね。」


穏やかな口調で言うシゲヤマを見て、私は思った。

他の3人がほったらかしの私たちの様子をわざわざ見に来てくれたし、毛嫌いするほどの人じゃないかもしれない。


「シゲヤマさん、ごめんなさい。」

「どうかしましたか?」

「いえ、迷惑かけちゃって。」

「いいですよ、気にしなくて。」


本当は、誤解しててのごめんなさい。


「戻れる?」


私の顔を覗き込んでダイキくんが訊く。


「うん。もう、平気。」


私は笑顔で頷いた。
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