KITUNE
親戚は多いものの、この実家に帰ってくる者は少ない。

みんな都会に出てしまい、親族が集まるのは年始ぐらいなものだ。

だからわたしが夏休みに帰って来ると、祖父と祖母は大歓迎で甘やかしてくれる。

そのせいか、毎年来てしまう。

茶の間に行くと、夕方の涼しい風が開いた窓から流れてくる。

わたしは風を浴びながら、座布団の上に座った。

風鈴の涼しい音色を聞いていると、眠気が襲ってくる。

「お待ちどおさま。冷えた桃、食べるかい?」

「うん」

祖母は麦茶と切った桃を持ってきてくれた。
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