あまーいお時間

*本屋さん

私は昨日のことが
忘れられず、ずっと
頭に残っている。

携帯を耳につけても
聞こえないけど
心の中からはちゃんと
悠希さんの声が聞こえる。

「―ちょっと!
日曜日だってのに
そんなダラダラして‥
あんた、受験生よ?!」

私が気持ち良く
考えているのに
平気で邪魔をしてくる
お母さん。
わかってる、わかってるよ。
けど今はこの気持ちで
いさせて‥。

「あんた、ちょっと
参考書でも買いに
行ってきなさいよ!
どうせ、塾なんて
行かないんだから‥」

「えー
めんどくさいよ~」

「‥凜?」

笑顔で名前を呼んでくる。
でも目が笑ってない。
悠希さんとはまったく
違うな‥。

「あーはいはいっ
行きますよ、行きます」

私は楽な格好から
私服に着替え
財布と携帯を持ち
本屋さんへ向かった。


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