恋の唄


「結衣ちゃん。コレの事、知ってる?」


突然声をかけられて、私は俯いていた頭を上げる。

すると、一花さんは左手を上げて白い包帯を見せた。

私は一瞬迷ったけど、唇を動かして答えた。


「知って、ます」

「……そうなんだ。祐一郎が話したんだよね」


それにはなんだか頷くのがためらわれて。

だけどどう考えたって華原君しかいないとわかるから。

だから、一花さんは話しを進めたようだった。


「リスカが癖になってるの。ダメだってわかってるけど、この方法しかないっていうか。そうしなければ自分を保てない気がして」


一花さんは何度も止めようと思ったけど、出来なかったんだと話した。

華原君を困らせたくないからと幾度も頑張ろうとしたのに、結局繰り返してしまっていた、と。


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