恋の唄


知らずに頬の筋肉が緩んで、気持ちが朝よりも更に軽くなる。

返信しようと操作しようとすれば、手の中で突如携帯が震えた。

知らない番号の表示にもしかしてと思い通話ボタンを押す。


「もしもし?」


声を出して相手に話しかけると、聞こえてきたのは……


『お、結衣? 俺』


予想……というより期待していた華原君の声。


「華原君?」


分かってはいるけど確認してしまう。


『そー。メールに番号入れるの忘れたからメンドイし電話してみた』

「そうなんだ。あれ? 今日は部活じゃないの?」

『今着替え終わったとこ。時間まだ余裕あっから心配すんな』

「うん。番号、ちゃんと登録しておくね」


何を話したらいいのか分からなくて、とりあえず当たり障りのない会話をしてしまう。

さっきから心臓がドキドキしてる。


『おう。ま、遠慮しねーで暇ならメールでも電話でもしてくれ』




< 37 / 204 >

この作品をシェア

pagetop