とりまー紀文

⑰「風ちゃん」−ふうちゃん− 柴

 娘さんのハワイ挙式があるからと7泊8日、柴犬を預かる事になった。
お泊りセットは、すごかった。でかいソファーベッド、ブタとアイスクリームのぬいぐるみ、スヌーピーのロング枕、日数分のフード、おやつ。
食器には、きちんとマジックで名前が書いてあった。
飼主さんからお預かりする時、風は「ウー」と低い声でうなっていた。
これは、リード(紐)を外すとつけられなくなるかもしれない。つけたまま部屋に繋いだ。
 夕方、部屋の前に行くと、しっぽをふってうれしそうな感じ。「あれれ?」大丈夫だと思った。
甘え声までだしている。
念のため散歩の時は、二重リードにした。
無事、散歩も終わりブラッシング、足をふきふき、何とかなりそうだ。
リードを外して部屋にいれた。
 他のホテルの子に迎えがくると、風は食欲がなくなり、ホームシック気味になった。
 散歩は高台にいき、そこから一緒に下の景色をみた。あっという間に一週間過ぎていた。
 お迎えの時、風は耳を後ろ向きに頭にくっつけ、喜びを全身で表していた。
私の方を見ず、とっとと帰っていってしまった。
 やはり、飼主さんには、かなわない。
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