Chain〜切れない鎖〜
「なぁ…お前、彼女なんだろ?」

急に真面目な顔になって京司があたしを見る。

変な髪型をしているが、よく見るとかっこいい顔をしている。
少し寂しげな、細い目をした男らしい顔だ。




「お前、彼女なら、一馬さんを元に戻せよ!」

「元にって…」

「昔の一馬さんに戻せよ!!」


そう、必死な顔であたしに言った。

京司が話す度に肩を揺さぶられ、あたしはガクガクと震えるのだった。






昔の一馬がどんなんだったか、あたしは知らない。

それでも、一馬はあたしと会ってから、随分変わった。


表情豊かになった。
優しくなった。

明らかにいい方向へ向かっている。



それが不良たちにとっては不満だったなんて。

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