赤い夏休み計画



 僕はそう言って返事も聞かずに電話を切った。
 携帯の画面に通話時間と料金が表示される。

 彼女の言葉を思い出す。

 ――…“ちゃんとした”大人にはなれないな、僕も、彼女も。

 高校三年の夏休み。

 退屈はしないかな。

 僕は笑った。
 扇風機のせいか、笑い声は歪だった。



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