君はここにいた。
やがて女の子が、泣きながら帰っていく。いつものパターンだ。
代わりに僕がカラスの前まで寄っていった。
「また泣かせたの?」
「…今日も盗み見してたのかよ」
カラスはすぐに僕に気づき、怪訝そうな顔をした。
「あいつらが勝手に泣くんだ」
「君がそっけないから。だいたい気がないって言うのに、なんで付き合うの? 時間の無駄じゃない?」
形だけの関係なら、そんなものいらないと思う。
それとも彼は彼自身が言っていた「空白のページ」を、自分なりに描こうとしているのか。
いや、そうは思えない。