君はここにいた。
「ふーん」
彼が一瞬ニヤリと笑ってみせる。それから、ゆっくりと立ち上がった。
ざっと175㎝はあるだろう。キレイな細身で手足もほどよく長い。
その反転、僕は自他とも認めるチビで163㎝ほどしかない。隣に立った彼を見上げてしまった。
神様はなんて不公平なんだ。
少しくらい彼の良さをわけてくれれば良いのに。
そんなことを思っている僕の横で、彼はグランドに落ちていた財布やノートを鞄と一緒に拾い上げた。
そして、「ちょっと来いよ」と僕の腕を強引に掴み足早に歩き出す。
「いたっ」
僕は思わず声を上げた。