桃太郎【Gulen】


「でしたら、ここから三日ほど進んだ先に、小さな漁村があります。そこに仙人が住まわれておりますので、その方にお話を伺ってみてはいかがでしょうか?」


 仙人?


「ここから、三日というと、出雲に繋がる海沿いの村か?」


 そんな場所に、仙人が住んでいるなんて噂、聞いたことがないがな・・・。


「はい。京の国の中でもごく一部しか知らぬことですが、何でも300年近く生きておられる老人がいるとか。」


 なるほど。それはさぞ徳の高い仙人だな。


「お前は不老不死の秘薬を求めてきたのだろう?だったら、輝夜姫のところではなく、なぜその仙人の下へ行かなかったんだ?」


 金太郎の言葉。


「わが主が求めるのはあくまで『不老』不死ですので。」


 なるほどね。


 たとえ、不死でも老いてしまっては、元も子もないわけだな。


 まったく、郷の深い・・・と、その言葉を出してはならんのだな。


「して、その仙人の名は?」


「はい、聞きますところ『浦島太郎』という漁師でございます。」


 仙人・・・浦島太郎・・・。


 それは、亀をお供に連れる仙人の名・・・。


 300年生きながらえる、仙人の名。



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