かえりみち
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葛西卓也の控室の前に、スーツ姿の男たちが群がっている。
音楽関係の雑誌の記者、それにマネージメント会社の関係者だ。
扉が開くのを、今か今かと待ち構えている。
扉がパッと開いたが、出てきたのは指揮者・井上。
「あ。今、がっかりしなかった?なんだ、葛西卓也じゃないって」
井上は、そばにいた男の一人に声をかけた。
「い、いえ!公演のご盛会、おめでとうございます!」
「え、なに?インタビュー?私に?」
「い、いえ・・・」
「葛西卓也のこと?」
「あ、はい♪」
「ハッハッハ!彼、素晴らしいだろう?彼のことなら、何でも聞きたまえ!」
なぜか得意気の指揮者・井上は上機嫌に葛西卓也の講釈をしだす。
「彼は飾らない性格だから公表してないんだが、実は『ジョルジオ・ヴァン・ビエッタ』という賞も取ってる、実力者でねぇ・・・」
と言っているうちに扉が開いて、頭からバスタオルをかぶった卓也が出てくる。
「おー、ご苦労、ご苦労!」
卓也に人が詰めかかり、ちょっとした騒ぎになった。
「私、『月刊ムージク・クラスィーク』の者ですが!是非巻頭インタビューを!」
「うちの雑誌で独占取材、させていただけませんか!」
「うちからCDを!」
卓也はタンクトップ姿で、悠然と構えている。
「おう、いいともいいとも!」
・・・あれ?葛西卓也ってこんなキャラなの?
ステージにいたときと、感じが違うような・・・
皆がそう思い始めた頃、卓也がかぶっていたバスタオルを外す。
「一人、百万円な!」
そこにいたのは、卓也ではなく春樹だった!
葛西卓也の控室の前に、スーツ姿の男たちが群がっている。
音楽関係の雑誌の記者、それにマネージメント会社の関係者だ。
扉が開くのを、今か今かと待ち構えている。
扉がパッと開いたが、出てきたのは指揮者・井上。
「あ。今、がっかりしなかった?なんだ、葛西卓也じゃないって」
井上は、そばにいた男の一人に声をかけた。
「い、いえ!公演のご盛会、おめでとうございます!」
「え、なに?インタビュー?私に?」
「い、いえ・・・」
「葛西卓也のこと?」
「あ、はい♪」
「ハッハッハ!彼、素晴らしいだろう?彼のことなら、何でも聞きたまえ!」
なぜか得意気の指揮者・井上は上機嫌に葛西卓也の講釈をしだす。
「彼は飾らない性格だから公表してないんだが、実は『ジョルジオ・ヴァン・ビエッタ』という賞も取ってる、実力者でねぇ・・・」
と言っているうちに扉が開いて、頭からバスタオルをかぶった卓也が出てくる。
「おー、ご苦労、ご苦労!」
卓也に人が詰めかかり、ちょっとした騒ぎになった。
「私、『月刊ムージク・クラスィーク』の者ですが!是非巻頭インタビューを!」
「うちの雑誌で独占取材、させていただけませんか!」
「うちからCDを!」
卓也はタンクトップ姿で、悠然と構えている。
「おう、いいともいいとも!」
・・・あれ?葛西卓也ってこんなキャラなの?
ステージにいたときと、感じが違うような・・・
皆がそう思い始めた頃、卓也がかぶっていたバスタオルを外す。
「一人、百万円な!」
そこにいたのは、卓也ではなく春樹だった!