さよならさえも言えなくて
帰りのHRが終わると直ぐに巧海があたしのクラスまでやって来た。


「今日も遅くなると思う。
ごめん」


申し訳なさそうな顔で巧海はそう言った。

巧海の肩にかかっているバッグにはサッカーボールのキーホルダーが付いている。
それが太陽の光を反射し、眩しくて思わず目を細めた。


「全然平気だよ!
あたしが勝手に待ってるだけだし。
部活頑張ってね!」


あたしが笑って手を振ると、巧海は廊下を走って行った。

段々と小さくなる背中を、見えなくなるまで見続けた。


ふぅ、と一息つくと、問題集の置いてある自分の席へと戻る。

待ってる間は、いつも勉強をしている。
お陰でテストの順位が付き合う前に比べて50位上がった。


順位が上がったのは嬉しいけど、勉強が好きと言う訳ではない。
それに冬の間は待ち時間も1時間位で済んだが、今の時期は日が長く、3時間近く待たなくてはならない。
< 24 / 36 >

この作品をシェア

pagetop