さよならさえも言えなくて
横から口々に言われ、あたしの決心はグラリと傾く。

正直1人で教室に居るのは好きではなかったし、断る理由がある訳でもない。
部員の人達も、第一印象こそ悪かったものの、話してみれば案外そうでもなさそうだ。


「絶対後悔させないから!」


田中がそう言って懇願して来る。
これだけ頼まれて放っておくのも薄情な気もするし、別に入って損する事はないだろう。

あたしはそう答えを出すと、顔を上げる。


「じゃあ……入部します」


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