Memory's Piece


兄弟が一人もいない一人っ子の私は、魅稀と桃亜さんの関係が昔から羨ましかった。

私が魅稀と出会った頃はもう既に桃亜さんは普通の状態ではなかったけれど、お互いを思いあってるのが傍目からでも分かるくらい二人は仲が良かったから。





でも・・・これは違う。

これはただの押し付け。

桃亜さんから、安全の為に無理矢理自由を奪うという押し付け。

桃亜さんが激しく扉を叩く音が空間を占める。

どうしてここまで出来るの?と息を呑む私を尻目に魅稀は扉を無表情に見つめ、ポツリと呟いた。






「ばいばい」



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