Memory's Piece


「そのキャバ嬢ってのが最悪なヤツで、お父さんに隠れて桃亜姉の入院費とかに手を出し始めてさ。
ま、お父さんはお母さん似のキャバ嬢におかしいくらいハマッてて、気づいてなかったけど。
いま思えば最初からそれが目的だったんだろうね。
ボクなんかは毎日朝も昼も夜も関係なくお父さんに犯されて、キャバ嬢にも殴られてこき使われてって感じだったのに、夕妃は甘やかされてさ~。

さすがのボクも壊れ始める訳よ」


「で、だね。壊れたボクはある日、キャバ嬢が乗るバイクのブレーキを壊してやったんだ。
確か14の時だったかな?
家に一人でいるときにこっそりどうしたら壊れるかを調べて実行してやった訳。事故って一人で派手に死んでくれたよ。
久しぶりに心から笑った瞬間だったよ。
『清々した!!』ってね」


ハハッと自嘲気味に笑うボクの頭を零一が後ろからペチンっと叩いた。

ちなみに言うと、零一はお母さん達が元気だった頃に出会った近所の子だ。

引っ越すまで仲良くしてたお友達。


「キャバ嬢のは都合よく事故ってことになってボクは少しだけ自由の身になった。
もともと改造されまくりのバイクだったし、ろくに整備もしてなかったみたいだから疑われもしなかったよ。
そんで、事故のショックとか言っておじいちゃんにお願いして一人暮らしを始めてボクは晴れて自由の身になった。
夕妃に怪しまれてたから逃げる必要もあったし。
バイトしてお金貯めて、一生懸命勉強して高校にも行ってるよ。」


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