Memory's Piece

「う~む。酷い!酷すぎる!!」


修行にと頼兎を連れてきたのは、ボクの縄張りの中にあるボロビル。

ほとんど誰も寄り付かないような裏にあって、広い空き地があるから修行にはもってこいなんだ。


「うっせー!!」


腰に手を当てて仁王立ちしているボクに怒鳴る頼兎は、地面と仲良くしている最中だ。

ちなみに、頼兎の上に乗っかって締め上げているのが波狼。

とりあえず、今の頼兎の力を知りたくてボクが言い出した二人の組み手だったけど、見るのも辛くなる酷さだった。

あのゴミ虫女の時の頼兎の戦闘力を100とするなら今の頼兎は0。というより、マイナスだ。

あの力は死ぬ気の馬鹿力だったか。と肩を竦めるほかない。


「しょうがない。一から仕込むかぁ~。波狼、離してやって。」


「はいはい。・・・ほら。」


「・・・・ぃってー。・・・・・・あ、ども。」


捻りあげられていた腕を摩る頼兎に手を差し伸べて立たせる波狼を眺めながらボクは「う~ん。」と唸った。


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