デスゲーム
早く治療しないと…吐血してるし…どうしたら…。


「すぐ医者くるからな。それまで踏ん張れ!最後なんて言うな!!」

「ハァ…ハァ。痛く……ないよ。……だから……泣かない…で」


今にも消えてなくなりそうな儚い声。俺の、涙が流れている頬にそっと手を添えてくる。細くて震えながらも必死に。

その手の上から俺の手を被せ、力強く握る。


「もう喋るな…。苦しいんだから我慢するなよ。後で聞くから」


沙弥は泣きながら、微かに首を横に一往復してみせた。涙で潤む目を一心不乱に閉じまいとして。


「ダメ…なの。もう時間……ない…ら、よく…聞いてぇ。

隼人……強く…生きて。…自分…信じ…」


声のトーンが時折高くなる。言葉の間隔が大きくなり、満足に言えてない。しかも吐血も止まらないのにそれでも、それでも話そうとする。

また…咳と一緒に血が飛び散った…。


「分かった。分かったから…、意識だけを保つのに専念しろ!!このままじゃお前……」

「死ぬよ。…分かっ…る。怖く……ないよ。…あな…たが…隼人がいるから」

「バカ野郎。まだ死ぬと決まってないだろ?」


否定はするが沙弥の状態から見て、救急車がきても助かる可能性は低い。認めたくない。絶対に認めたくない。俺が諦めたら誰が沙弥を信じんだ。
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