デスゲーム
受付を終えて俺達が案内された部屋に…生前の福家悠也がいた。

写真立ての中に、生徒手帳にでも貼るような表情で。その下には棺があり、遺体は恐らくそれに納められているだろう。


「清水に川藤…遅かったな」


既に見知った顔が集まっていて、先にお参りしていた。みんな曇った表情をしていて、人目みただけで悲しげだ。


「こいつがなかなか出て来ないから強引に引き摺ってきた」

「そうなのか。…そうだな、みんな一緒の方が悠也も安心できるよな」


お線香の匂いと福家の写真で、もう二度と会えないのだと思い知らされた。

俺の番になったのでゆっくりと合掌し、その場から離れる。

心を込めているせいなのか、その一つ一つの行為が長く感じる。


「福家すまん。俺がもっと早く見つけていればこんな事にはならなかったのに………。ごめんな、ごめんな」


無言だった川藤が合掌している時、誰にも聞こえないような声でそう言っているのが聞こえた気がした。
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