デスゲーム
白樺公園か。俺にとっては思い出の場所になりつつある。

噴水の前にて、沙弥と二人で初めて会ったベンチに九条がいた。


「性格の割りには時間に律義なんだな」

「まあな。デートだったらもっと早く来てる。で、話って何?」


ベンチに座る九条に立ったまま背を向ける。一度深呼吸をすると少しだけ落ち着いた。


「沙弥は…本当にお前が殺したのか?」

「……ああ、結果としてはそうなる。だが気にすんなよ、そんなくだらない事」

「ふざけんな!お前にとっては些細な事だったかもしれねえけどな、俺にとっては…くそ」


今怒ってもどうしようもない。つい睨むと、落胆したような表情をとりやがった。思わず拳を作り、きつく握ってしまう。


「じゃあ何?桜井の代わりに俺が死ねば良かったって言いたいわけ?それは理不尽だな」

「…お前程の奴なら救い方が分かってたはずだ。勝者が敗者を仲間にして救済する方法をな。なぜしなかった?」


九条は一瞬だが悲しげな表情を見せた。一人の時にだけするような寂しい顔だ。
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