デスゲーム
「清水、柊ちゃん行こう。レインは1対1って言ってたし、氷室なら絶対勝てる。信じよう」


九条に促されて階段へ歩みを始める。ただ、相手もかなりの手慣れだ。苦戦はするだろうな。


「…分かったよ、ここは氷室に任せる。必ず勝てよ。信じてるからな」

「………」

「お前が死ぬと悲しむ人いるんだからな。ここにも、現実にも。希望を捨てんなよー」

「………」


俺と九条の呼び掛けに無言で答えてる。こんな時までこいつは。…軽く微笑んでるその唇は余裕がある証拠か。


階段の手前まで着いた。最後に氷室の方に振り返る。


「どうか無事でいてくださいね。絶対だよ?」

「………」

「返事しろ!ちーくん!!」


この空間内に雫の声が響き渡る。口に手を添え、氷室には確実に届いたな。側にいたら余計に響いたわ。


「…分かったから早く行け。俺は負けねえよ。仲間の大切さを知った今ではな」

「…次のフロアへ行こう。あいつならもう大丈夫だ」


雫も満足になり、俺達は揃って微笑した。

氷室を残し、また階段を上がってゆく。上が遥かに遠く感じる、そんな真っ白な階段を。
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