デスゲーム
駆け足でドアへ向かうと、後ろからついてきてくれた。


「……分かった。ここから出るのを手伝う。

というより、両手塞がってるのにどう脱出するつもりだったの?」


優菜さんはすぐさま駆け寄り、ドアを開けてくれた。

そのまま部屋を飛び出て、蝋燭が不気味に照らす通路を突き進む。


「わり、勢いだ。ここ曲がるぞ。それからこっち。次はあのドア」


館からの脱出ルートが分かる。イメージが流れ込んでくる。

なぜか分からない。けど考える余裕はない。館の揺れは大きくなっている。


「…ねえ、本当にこっちなの?」

「さあな。俺にもさっぱり」


栞の身体…軽いな。小さな風でもかき消されそうなほどに。

そんな栞を落としてしまわないように注意を払い、

角を曲がり、進み、やがて…




「これで最後だ!」





大きな門――『デスゲーム』を求め、雫の後を追ってくぐった門を開くと…



俺達のいるべき世界が広がった。
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