ジミコイ
桜散る。
「だって悠は、特別だもん…。」
そういって手作りのチョコを渡された。
しかも自分がずっと好きだった子に。


あれは今から六年前のバレンタインデー。
当時18歳の俺は舞い上がっていた。
彼女いない歴=年齢のこの俺にも遂に春が来た!と、確信していた。
そのチョコをくれた女の子は昔から家族ぐるみの付き合いがあった家の子で名前はユキ。歳は俺と同い年。

家族ぐるみの付き合いがあったとはいえ、お互い殆んど顔を合わせることはなかった。

たまに近所で見かけることもあったものの、元々奥手で女の子が苦手な俺が話しかけれる相手でもなかった。

ユキは地味系まっしぐらな俺とは違い、少しあか抜けたいわゆる今風の女の子。

かといってギャルと言われる程ではなく派手な飾り気のない子で、顔も整った普通に「可愛い」と言える女の子だった。

世間的に見れば幼馴染みという関係になるのかもしれないが、ユキと会話と呼べる会話を交わしたのも出会って10年近く経つというのに両手で余裕で数えれるくらいだった。

そんな女気も何もないダラダラとした毎日をひたすら重ね、18歳になり面白くも何ともない高校生活も最後の一年となり、受験期を迎えた。

しかし、俺はここで人生の転機を迎える。
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