将棋少女



「はい、確かにそう言われました。でも、何故それは僕何でしょうか」


「それは嫌。って事かしら?」


「そんな訳ないじゃないですか」


香歩さんの飛車が動き出す。


ほとんど歩、銀、飛車しか動いていない香歩の攻め手ではあるがプレッシャーは凄まじく感じる。


負け続けたからそう感じるのかも知れないけど、少なくとも僕は香歩さんの攻め手の実はわかっているつもりだ。


「何故、弱い僕なんかを相手にするんですか?」


……僕は弱い。それは誰よりも僕がわかっている。


早い段階で決めた美濃囲い。


横からの攻めをいなすのには適した構えではあるけれど香歩さん相手ではそこまで保たないだろう。


「僕なんかより、対戦相手にふさわしい人はもっといると思います」


僕の言葉を聞いてるのか聞いていないのか、香歩さんは無言を貫き、じっと盤面を見つめる。


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