将棋少女



「それじゃ神奈川。次、読んでくれ」


「あ、はい」


突然指された僕。条件反射で立ち上がる。


けど当然ながら教科書なんて読んでなかったし話も聞いてなかった。


次。なんて言われてもわかる訳ない。


……自業自得ではあるけどさ。


「あの、すいません。次、ってどこからですか?」


ドッ。とクラス中から笑いが巻き起こった。


皆の哄笑のベクトルは言わずもがな僕で、あぁ。穴があったら入りたい。


「お前は……。もういい」


俯き加減のまま先生に促されて席に着く。


羞恥の中、けれど脳裏に浮かんでいたのはどうしてだか香歩さんの事だった。


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