幸運の器
しかし、稀にそのバランスを崩してしまう人が現れだした。

暴走した「器」は、許容量以上の「幸運」を詰め込んだり、許容量以上の「幸運」を使おうとしてしまう。

そうなってしまっては、もうお終いだ。

「幸運の器」は粉々に砕け散り、その人の一生から「運」というものまで消し去ってしまう。

「器」を失って人々に訪れるのは、虚無。

いくら頑張っても何も達成することができず、何もしなくても事態が悪くなることがない。

平坦な道をただひたすら歩くだけのつまらない人生。


もちろん、その人生を享受しそのまま一生を送る人たちもいる。

しかし、中にはどうにかして「器」を取り戻すことができないかと考える人たちもいた。
< 2 / 207 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop