アイツとコイツは許嫁。


ダンスの練習が終わり、体育館を出ようとした時、先生に呼び止められました。


「東宮さん、相変わらず上手いわねえ。・・・それで、ペアの生徒も上手いわねえ。高見沢家の方なんですって?」


そんなの摩央に聞けばいいですのに。


「さあ、どうやらそのようです」


そう言って、体育館を後にしました。


しばらく歩いたところで、


「・・・あ。水樹さん・・・」


大切な人を忘れていたことに気づき、体育館に引き返しました。


そして途中で走ってきていた水樹さんに会い、


・・・すみません。


心の中で両手を合わせました。


放課後も旗作りです。


わたくしは今日も水樹さんと話していますわ。


別の言い方をすると、『サボっている』と言うのでしょうか?


摩央も櫻井さんたちと騒いでます。


今日は何も言ってきませんでしたわ。


まあ、あたりまえかもしれませんが。


帰る時は、もちろん無言でした。


< 92 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop