ぬくもりに触れたくて。

-浮気-

付き合って2年目を迎えて
私が陸登の家に転がり込んで半年が立つ。

寂しくて仕方なかった私は両親の承諾も得て、今こうして一緒に暮らせている。

「りっくん!ケーキ買って来たよ♪」

「あ、俺の好きなガトーショコラだ。」

「新作なんだって~☆
ご飯食べたら食べようね。」

「うん、楽しみ。」

~♪♪

携帯の着信.

「りっくん電話なってるよ。」

「ん…あぁ。」

携帯を開き部屋を出て電話を始める。





おかしい。

いままで部屋を出るなんてなかった。

しかも通話時間がやたら長い。

でもりっくんに限って考えられない。


―浮気―

脳裏によぎった嫌な単語。

気にしちゃだめ。

お仕事の関係だ。

「よし、晩御飯の支度しなきゃ。」

立ち上がりキッチンに行く。

その間も出てくる様子はない。

「………まさかね。」

結局食事の支度が済んで、テーブルに並べてる間にやっと入って来た。

「長かったね?部長さんか誰か?」

「うん、なんかプレゼン任されてその内容の打ち合わせ。」

「そっか、じゃあ食べよ?」

「いただきます。」

空気が重い。

話が出来ない。

黙々と食べる2人。

「ご馳走様、美味しかった。」

頭をくしゃっていつもみたいに撫でてくれる。

食器の後片付けは陸登の仕事。

その間私は悶々としたままソファーに座ってた。

「ねぇりっくん~。」

「なに~?」

「浮気ってさ、どこから?」

「キスして抱きしめたりしたらじゃないの?」

「じゃあ相手を好きになるのは浮気じゃないのかな?」

「それはlikeでLOVEじゃないじゃん。」

「え~?でも恋愛感情が生まれたら浮気ってことでしょ?」

「………まぁ、恋愛感情が生まれたらな。」

…スラスラ答える。

なんで?

人形を抱き締める手に力が入る。

「まろん、風呂入ってくる。」

そう言ってバスルームに消えた。

やっぱ浮気してんのかな…。

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