Hurly-Burly 【完】

ガクガク震える肩にあたしは怖かったのだ

と理解出来た時には馨君が優しく頭を撫でてくれた。

「よく頑張ったね。怖かったはずだよね。

助けに来るの遅くなってごめんね。

カエルってのがよく分からなかった。」

あ、それですか?

「それ、バンビです。

佐藤君に訂正受けました。

っていうか、佐藤選手っ!!」

ダイナマイトユウヤに背負われた佐藤選手。

鼻血は止まったようだ。

ぐったりしている。

「コイツ、一発殴られて気絶してやがる。」

ケラケラ笑うダイナマイトユウヤ。

何、その弱さっ!!

あたしに言ってた言葉が台無しだよ。

それでも、頑張ってくれたんだよね。

「何、その佐藤選手って?」

伊織君がケータイを片手にあたしを見る。

「うん、あたしがここに来たのは佐藤選手

のお陰でもあるというか・・・タクシーの

スピードに追い付く超人的足の速さ。

これはもうオリンピック出場も夢じゃ

ないよね。」

「日和ちゃん、意味の分からないことばっかり

言ってたからマジで焦ったよ。」

馨君、あたしも焦った。

その店を出て行く時、ガードマンが店の

奥に吹っ飛ばされていた。

他のチンピラも何人か変死体のようだった。

「ちぃー君、いい匂いがします・・・」

あたしの記憶が残るのはそれまで。

道端に出てちぃー君の背中に顔を

埋めた後はもう覚えてない。

ただ、昔父さんにおんぶされて

夜道のお散歩をしていた夢を見た

気がする。

『ひーちゃん、ひーちゃん』

そんな父さんが懐かしくて夢が冷めなければ

いいとさえ思えた。

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