Hurly-Burly 【完】

例えば、アンパンマン。

あれは水が駄目だったよね。

顔を水とかで濡らされると力がでなくなるって

毎回そんなシーンがあった。

それにウルトラマン。

あれは3分しか戦えないという時間に

縛られた戦闘をしている。

他にもヒーローはたくさん居るけど、

きっと必ず一つは弱点があるはずなんだ。

「ひーちゃん、帰るか?」

保健室でぐったりしていると悪魔2号に

蒸しタオルをもらった。

「・・・・いい」

家に帰ると一人でグダグダ考えちゃう。

サユと修平君が来るまでジョセフィーヌと

一緒でもいつ来るか分からないものに怯えて

過ごすのは切ない。

「じゃあ、手伝いなさいよ。

少しは気が紛れるかもしれないな。

お兄さん、いい仕事持ってきたから。」

そんなのただあんたがやりたくないだけだろ

とは言えずに、せっせと保健便りを書く。

3時間目の途中でリタイアして保健室で

こうやってグダグダしていた。

今はそろそろお昼休みが始まる頃だ。

保健室は今日は誰も居なくてこの悪魔と

2人っきりというむさ苦しい始末だ。

「この間さ、俺すごい逆ナンの率でよ。」

見た目に騙された女が可哀想だ。

この悪魔は最低だというのに、みんな顔に

騙されているぞ。

保健室に来る女子も絶対に騙されている。

「あ、そう。」

それでも今日は毒を吐くことすら出来そうにない。

心では何とでも言えるけど言葉に出ない。

憂鬱で仕方ないよ。

早く、雨が上がってくれないかな?

夏になってくれたらいいのに。

この時期の雷は本当に嫌だよ。

まだ、普通の日の雷なら全然いい。
< 328 / 419 >

この作品をシェア

pagetop