Hurly-Burly 【完】

あたしの洩らす言葉に彼女は耳を傾けて、

聞いてくれた。

それから、いきなり立って人目も気にせず

「馬鹿野郎ー!!」

叫んだ彼女に心の底から驚いた。

どこから、そんなに大きな声が出るの?

「これが意外といいストレス解消法でして。」

彼女にも悩みの1つや2つあっても可笑しくなかった

と思ったのはその言葉を聞いてからだった。

思ったよりも彼女のパワフルさに圧倒された。

あの日よりも彼女の本当を知れた。

優しい子なんだろう。

人が困ってるときっとほっとけない子なんだろう。

だから、その強さに憧れたんだろう。

「ねぇ、ここにはいつも来るの?」

あの日よりも綺麗に笑う彼女の笑みは

見惚れるほど可愛かった。

「うん、ジョセフィーヌの散歩コース

だからねっ」

大きなゴールデンレトリバーを撫でる

彼女はとても幸せそうだった。

「犬、好きなの?」

いつもは受け答えしかしないあたしが

自分から話し出すことに驚いた。

「ふふっ、父さんが連れてきたからね。

最初は自分より大きくて怖かったんだよ。

でも、すごく可愛いの。

あたしのことちゃんと見ててくれて、

すごく大好きよ。」

笑って話す彼女から目が離せなかった。

「あのね、藍ちゃん。

あたしよくここに来るし、暇が出来たら

おいでよ。ジョセフィーヌも藍ちゃんと

遊んで欲しいって言ってる。」

ジョセフィーヌって名前は誰が付けた

のって思ったけど、その言葉に嬉しくて

そっけなくだが頷いた。

「またね!」

その言葉を聞きながらまた会ってくれる

んだと思うと照れた。

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