Hurly-Burly 【完】

この2人とこの女の関係が見えてこねぇ。

ただの教師と生徒って立場じゃねぇ。

「思わないよ。」

そして、また意思の強い瞳で言う。

「またまた、無理しちゃってね。」

ムラタの言葉に首を横に振る。

「迷惑は掛けないわ。

それでも面倒だと思うなら切り捨てればいい。」

とてつもなく冷たい瞳を向けて、

限りなく仮面に近いものを被った。

「ひーちゃん、それ本気で言ってるの?

それだったら、俺マジで泣かすよ?」

ムラタが真剣な顔つきになった。

「出来る物だったらね。

出来ない癖に言うもんじゃないよ。」

ムラタの手を払いのける。

その細い腕のどこに力があるのか。

ポーカーフェイスな顔で言い放つ

女の顔は相変わらず青白かった。

「ったく、可愛くねぇな。」

相沢がボスボスと女の頭を叩く。

「い、痛いじゃないか。」

そして、困惑じみた瞳で俺たちを

見つめる女と目が合った。

「さっきは頭に血が上ってその

手伝ってくれようとしたのに

ごめんね。」

俺に向かって口を開く女が

俺の顔色を窺う。

ナルのヤツにも申し訳なさそうに

謝るこの女は本当に意味が分からねぇ。

「何で、てめぇが謝る必要があんだ?」

何もしてやれなかった。

苦しそうにしてて気づかって

やれなかった。

「ほら、そういうのって勇気が

居るじゃないか。」

こう見れば、全然違う表情を浮かべてて

焦って答える顔が必死過ぎて笑えた。
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