D i a r y


学校を辞めることは、辛かった。
医者になりたい。
そう望んで、努力して、入った学校。
仲間もたくさんいた。

譲二を置いていくのは辛かった。
孤独だったおれを養子にしてくれた
はじめて父親と呼ぶことのできる
人間として尊敬する男だった。


でも、正直に言えば諦められた。
もともとゴミのような人生だ。
ここまでまともになれたことが
既に奇跡のようなものだった。

そう思えば、いい夢見させて貰ったな、
と諦めもつきそうなものだ。


雨のことを、考えた。

遠い遠い、日本にいるおれの彼女。
はじめて恋した相手。
はじめて愛した人間。
おれを絶望から引き上げてくれた
おれにとって唯一絶対の、女。



泣いた。

宣告を受けて6時間、

自分の部屋で、おれは声を上げて泣いた。

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