3年E組恋愛相談室
1.わからない
クラスの人気者(だと私が思っていた)

ヤマダミホが泣いている。

放課後の職員室。

外はもう真っ暗。

残っている先生はいない。


「わたし、もう死にたいです」

うん、それはもう何回も聞いた。

「わたし、どうすればいいんですか」

うーん、それはわたしにもわからない。

そもそも、なんで死にたくなっちゃうのか、
がわからない。

それに何で、わたしみたいな教師に

そんな相談をするのかがわからない。


ミホは我が3年E組の優等生(だと私は思っていた)。

この前の席替えで、スズキととなりに

なって、ちょっと話してみたら、

優しいから、好きになっちゃって、

彼女がいないって聞いていたから、

告白したら、好きな子がいるって、

言われて、超ショックで、それなのに、

告ったことが噂になり、他の女子から

無視されるようになった…。


うん、そうか、それは大変だ。

同情するよ。

でもね、そういうのって、ふつう、

担任に相談するか?


きっとわたしが、ブサイクで、

彼女いない歴24年で、

話が下手で、チビで、それから、

英語の発音が変で、他の先生たち

から、バカにされていそうだから

なんだろう。




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