僕等は彷徨う、愛を求めて。Ⅱ


「……うぅ~……」

「ちょ、マジ泣きかよ! おい、凪っ」


顔を覆うあたしの頭上から、祠稀の焦った声が降り注ぐ。


泣きやめだの、泣くなだの。


同じ言葉の繰り返しで、あたしは後から後から涙が溢れて。嫌だ、嫌だと思っていた。


「……はぁ、いくつだお前は」


うるさい、と言おうとしたのに。頭に感じた温もりが、少し乱暴な撫で方が、彗ではないと分かって言えなかった。


恐る恐る顔を上げると、祠稀の綺麗な顔が視界いっぱいに映っていた。


「学校で、かまってやるから」


困ったように笑ってるのが分かって、泣いてる自分が今さら恥ずかしくなる。


頭に乗せられた祠稀の手を思い切り振り払うと、祠稀は目を見開いてすぐ「テメェ……」と怒った顔をした。


「別にかまってほしくないし!」


顔が、熱い。


嫌になるほど自分で分かるのに、祠稀が気付かないわけなくて。顔を背けても背けても、祠稀は覗いてくる。


「もう! ウザいっ!」

「なんだよ。寂しいなら寂しいって言えよ」

「ぎゃー! もう! 早く行ってしまえ!」


真っ赤な顔をしてるあたしが出した拳を、祠稀は軽く受け止めて、口の端を上げる。


……ムカつく、ほんとにムカつく!
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