年上の先生
「静?
何見とれているの?」

「はい?」

横にいる香が、
私に声を掛けてきた。

当たり前だが、
授業中で、しかも、
担任の授業である。

「先生の字って、
綺麗に書くね。
流石に国語の教師だ。」

「うん。」

先生の字は女性みたいに、
繊細であった。

流れるように黒板に
書いていく文字に、
私は人柄が出ている、
そんな感じを受けた。

両親の字は、
冷たく関わりを持たない、
そんな字を書いていた。

【別居するから、
1人で暮らしなさい。

お金は互いに振り込む。
何かある時だけ、
電話をしなさい。】

そんな冷たい字なのに、
今でも捨てれない私がいる。

先生みたいに、
温かい字が欲しかった。
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