空をなくしたその先に
「あたしたちに任せて、早く行ってください!」


通話装置ごしに聞こえたのはダナの声。


「こっちも弾薬の残りが少ないんだ。

援護できる時間も長くはない。早く行け!」


ヘクターの声も聞こえる。


「ありがとう。
あなたたちも、できるだけ早く戻りなさい」


迷っている暇などなかった。

こちらは丸腰で、あちらは残り少ないとはいえ武器も弾薬もある。

どちらが残る方が生存率が高いかなど、あえて口に出すまでもない。

サラは、ビクトールのことは告げなかった。

救援に礼をのべるに留めて、味方の艦を追う。


サラがアーティカの軍勢と合流できたのは三時間後。

戦闘機部隊で脱出に成功したのはおよそ半数。

その中に、ダナとヘクターはいなかった。
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