空をなくしたその先に
痛みに眉をしかめながら、ビクトールは返す。


「いいってことだ。
生きて戻れただけ上等。
ビルフレインはどうした?」

「撤退しました」

「あの状況で撤退だ?何があった」

「指揮系統がばらばらになったのではないかと。

リディアスベイルが飛行島を破壊しましたので」


沈黙は、ビクトールが事態を飲み込むまで続いた。


「傑作だ。

要はリディアスベイルで体当たりしたってことだな?」


あげかけた笑い声は、すぐにうめき声に取って代わられる。


「アーティカの女は強いな、サラ」

「強くなければ、生き残れませんから」


ビクトールは感心したように、サラを見つめた。

若すぎる、と反対の声もあったが彼女を登用して正解だった。

時として、ビクトールさえ想像しようともしなかった大胆なことをする。
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