空をなくしたその先に
この島には何度も訪れている。
ディオの顔を知っている人間がいる可能性も高いということに、改めて気がつかされる。


「去年もこのあたりで服を買わされたんだよ。

ひょっとしてその時にここで買ったかも」

「そいじゃお得意さんだ。

んで、探しているのは女物か?

確かに兄さんはスカートはいても違和感なさそうだけどな」


にやにやする店主に、ディオは深々とため息をついてみせる。

「大学の先輩たちと一緒に、先輩の別荘に来ているんだ。

昨日の賭トランプで負けて女装しなきゃいけなくなったんだよ。

今夜の宴会でね。

もちろん洋服代は僕持ちで。

大学の寮にいる時だったら誰かから借りられたのにさ」


あっはっはと、店主は笑った。


「学生さんは気楽でいいなあ。そんなゲームをしているなんて」

「僕は気楽じゃないよ。

次の仕送りまでパンと水で生活しなきゃかも」


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