空をなくしたその先に
定期便の乗客は、それほど裕福ではない層が多い。

特別客室も一室しかない。

それよりは、同じような航路を就航している豪華客船を狙った方が、海賊たちにとっては効率がいいはずだ。

船によっても違うが、この定期便の特別客船ランクが大半の客船も存在するのだから。

ディオは靴を放り出して、ソファの上に身を投げ出した。

空の船はさほど揺れないが、今乗っている船の揺れはかなりのものだ。

その揺れに身を任せるのも、たまにはいい。

これが甲板なら最高なのにとも思うが、ダナを置いて出ていくわけにもいかない。

両腕を折りたたんで頭の下に置く。

最初は天井を見上げていたのが、だんだん瞼が重たくなってくる。

ここ数日、今までに経験したことのないことばかり起こっている。

ようやく落ち着いた今、眠くなっても不思議ではないのだが。

< 191 / 564 >

この作品をシェア

pagetop