空をなくしたその先に
無事なのは。

研究所を出ていた彼だけで。

こんな夢、早くさめてしまえばいい。

肩をゆすられて気がついた。


「大丈夫?ずいぶんうなされていたけれど」


ディオにベッドを押しつけて、ソファで寝ていたはずのダナが枕を抱えて見下ろしていた。


「ごめん、うるさかった?」

「そういうわけじゃないけど」


そのままダナはディオの隣に潜り込んでくる。


「な、なんだよ」

「誰がそばにいた方が安心するでしょ」


うつ伏せになって、ダナは枕をたたいている。


「あたしも、そうだったから……

それにあのソファ寝心地最悪」


ようやく気に入った形になったのか、それだけ言うとそのまま枕に顔を埋めてしまう。

言葉の後半は、既に眠りの中。


「別の意味で眠れないと思うけど?」


ディオの言葉はおそらく聞こえていない。

ディオは少しだけダナの方に身を寄せると、背を向けた。
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