空をなくしたその先に
訪れたその瞬間。

考える間もなく引き金を引く。
ディオの上に血の雨がふりそそいだ。

男の動きは、やけにゆっくりに見えた。

信じられない、といったように男は目を見開いていた。

くるり、と一回転してそのまま倒れ込む。

数度指先を痙攣させて、言葉を発することなく男は動かなくなった。

ディオは苦労して身を起こした。

歩きだそうとして、その場にしゃがみ込む。

地面に手と膝をついて、その場に胃の中身全てを吐き出した。

顔に手に身体についた男の血。

手を持ち上げて、顔をごしごしとこすってみるが、落ちるはずなどない。

降り注いできた人の血はあまりにも生々しかった。

自分の身を守るためとはいえ、人を殺めた。

今さらのように足ががくがくとしはじめる。

言うことを聞かない足を叱咤する。

早くビクトールたちと合流しなければ。

数回立ち上がりかけてはひざを折って、それからようやく立ち上がる。

銃を右手に下げたまま、ディオはふらふらと歩き始めた。

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