空をなくしたその先に
傭兵部隊といえど構成員の大半は、ビクトール個人に忠誠を誓っている。

特にアーティカで生まれ育った者はその傾向が強い。

アーティカを離れるにあたって、慎重に選んだ人員は十名。

あとの者はビクトールにつくのが目に見えていたからだ。

連れてきた人数だけでは、
リディアスベイルをなんとか航行させることはできても、

戦闘ともなれば人員は大幅に足りない。

戦闘機もそのパイロットも、アーティカに残してきた。

今この船に搭載している戦闘機は、アリビデイル王国正規部隊のものだ。

パイロットも正規軍の兵士で、正常な体制とはいえない。

自分が育った国に攻め込むというのは奇妙なものだ。

王子も機密書類も手に入れられなかった今、
空を一国に占領させないためには研究を完成させられる前に叩くしかない。
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