空をなくしたその先に
「頼むよ。彼女の大事な機体なんだ」


ディオが頼んだのは、ルイーナの北に沈めたダナの機体を引き上げることだった。

海に沈めて二週間。

機体そのものは使いものにはならないだろうが、フォースダイトを取り出せば、そちらはまだ使用できる。

場所が国外のため、最初からダナは引き上げを諦めている様子だった。

せめてもの礼だ。

ここまで送ってくれたことへの。


「それともう一つ」


続くもう一つの依頼に、フェイモスの顔はますます渋くなる。


「完成させるつもりですか?」

「ここまで大切に持ってきたものだからね。

このままで終わらせたくないんだ」


たくさんの人の力を借りて。

たくさんの犠牲を出して、ここまで運んだ研究資料。

ディオは、王宮近くの研究施設の使用権を要求した。


「危険なものだと理解しておられる?」

「しているよ……研究を続けるのは間違いかもしれないとも思っている」
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