空をなくしたその先に
ディオは目を閉じた。
日の光が頬を柔らかくなでる。
留学してからずっと研究室にこもりきりで、
こんな風に過ごすことなんてなかった。

日の光にあたるのも久しぶりだ。

居眠りをしないようにしなければと思うが、
この心地よさは眠気を誘う。

わざわざ偽の旅券を手配してまで、
守らなければならない秘密だ。
誰かに盗まれないように気を配らねばならない。

名残惜しいが、
長椅子から離れることにする。
ディオは、持ってきた雑誌を丸めて立ち上がった。

昔から背が低いのがコンプレックスだ。

男にしては華奢な体格、日に焼けた藁の色をした髪と目。

童顔で、年相応に見られたことなど一度もない。

どちらかと言えば目立たない方だが顔立ちは悪くないのだろう。

研究室にいる女の子たちが、

「かわいい」

と評しているのを聞いたことがあるから。

……嬉しくもなんともなかったけれど。
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