空をなくしたその先に
「料理はあまりしなかったけど、たまに作るとすごくおいしいもの食べさせてくれた」

「家庭的な人なんだね」

「そうよ。あたしたちの面倒を……」


ダナは途中で口を閉じた。

そのことに触れれば、ヘクターのことまで話さなくてはならなくなる。

今はそこには触れたくない。

もう一度ディオの布団を首もとまで引き上げておいて、ダナは足早に部屋を出た。

残されたディオは目を閉じた。
頭の中が熱い。

この一月常に脳をフル回転させてきた。

眠る間も惜しんで。

こうして横になっていても、眠ることなんてできそうもない。
おまけにまだ午後二時を回ったばかりなのだ。

たとえ眠りに落ちることができたとしても、幸せな夢なんて見られそうもないのはわかっている。

彼がこれから行うことを考えれば、そんなもの見られるはずもない。
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